「障害」を定義する制度は法律がありますが、1972年に発足した「難病対策」は、これまで根拠となる法律がないまま事業として行われていました。そのため、難病患者への医療費助成のある特定疾患研究事業も、毎年予算を要求し続けるという不安定なものでした。
12月13日(金)に行われた第35回難病対策委員会で、難病対策新制度の最終報告がまとまり、来年の通常国会に法案を提出することになりました。これにより難病対策は初めて法制化され、社会保障経費(義務的経費)として安定的なものとなります。
小児慢性特定疾患治療費助成制度についても義務的経費化され、大人については56疾患から約300疾患に、子どもについては514疾患から約600疾患に対象疾患が増えるとのことです。
詳しくは厚生労働省ホームページをご覧ください。
難病対策の改革に向けた取組について(報告書)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000032632.html
第11回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000032255.html
マルファン症候群は、現在医療費助成となっている56疾患には入っていません。
日本マルファン協会は、任意団体であった2006年より厚生労働省へ難病指定についての要望書を提出し、現在まで引き続き活動してまいりました。
2009年に難治性疾患克服研究事業に「治療研究分野」ができ、対象疾患となったことで、日本人の診断基準をはじめとする研究が進んでおります。
しかしながら、今でもマルファン症候群とは知らずに大動脈解離が起きて亡くなる方がいます。また、知っていて定期検診を受けていたにもかかわらず、次の検診の前に解離してしまう方がいらっしゃいます。心臓血管だけでなく、眼科や整形、呼吸器などの症状に悩まれている方もいます。
新しい難病対策のもと、総合的な治療研究を進めていただき、症状の重い方には医療費助成の対象となるよう、今後も要望を重ねていきたいと思います。
みなさまのご理解ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
12月2日(月)参議院会館講堂で「総合的で安心できる難病対策・小慢慢性特定疾患対策の法制化を求める緊急院内集会 」が、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)及び認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク・親の会連絡会の主催で開催され、4名で参加しました。
当会も檀上で意見を述べる機会をいただき、医療費助成の対象になっていない疾患の立場として、法制化と対象疾患への願いを発言させていただきました。終了後は、衆参の厚生労働委員会など5名の国会議員に、集会のアピール文と要望書を届けました。
詳しくはJPAホームページをご覧ください。
http://www.nanbyo.jp/betusite/131202syukai/top.html
マルファン症候群は、症状が多様な疾患で、個人差の大きい疾患です。
社会的な理解によって、もっと生活しやすくなる患者は多く、今回の難病対策がその契機となることも、切に願っております。