先生、マルファン症候群ってどんな病気?
少し難しいかもしれないから、例え話をしようね。
君は鉄筋コンクリートで家を建てた。でも家が完成してみると鉄筋の強度が不足していて、そのままでは家を長い間、支えられないかもしれない。放っておくと、壁がはがれたり、突然床が抜けてしまうかもしれない…でもここは君の大好きな家。生涯にわたって住みたいと思っているし、別の家に引っ越したり、全部壊して立て替えることはできないんだ。
君ならどうする?
壊れないように気をつけたり、壊れたら直して大切に住むよ。
そうだね。大切にする。家の専門家に定期的に診断してもらうよね。弱くなった所は修理するよね。壁や床も補強するよね。この家が君の体だ。そして家のあちこちで起こりうる症状がマルファン症候群なんだ。
つまり一言では説明できないってこと?
君は賢いね。色々な症状が出るし、個人差もあるから、簡単に一言で説明するのは難しいな。一概にマルファン症候群だからこうなるとは断言できない。
さあ、家から人間に話を戻そうか。
うん。人間の体は鉄筋コンクリートではなく細胞が集まって出来ているんだよね?
そうだよ。マルファン症候群は、遺伝子の変異によって、細胞の集団全体の構造を支える力が弱くなってしまうんだ。
弱くなるとどうなるの?
例えば、体の一番太い血管がふくらんでこぶができたり、それが裂けてしまったりする。背骨が曲がったり、目が悪くなってしまうこともある。君ならどうする?
家と同じ、備えればいい‼ でも、備えられるの?
その通り。昔はできなかったけど、今は手術ができるからね。専門医の定期診断を受け、相談をする。どこに症状が出てきたか、何に気をつけたらいいか、いつ手術をするのか備える。大切なのは正確な情報。つまり正しい情報は命を救い、生きる支えになるんだ。
家の例えと同じだね。
かつては短命の方が多いとされた。でも今では多くの方が平均寿命を全うされている。ただし、マルファン症候群と自覚せず何も備えていなかったら、残念ながら突然死も起こりうる。血管が大きくふくらんでも、苦しいとか痛いという感じはしないから、ある日突然大変なことが起きてしまうんだ。だからこそ、自分がマルファン症候群だと自覚することが大事なんだよ。
どうやって自覚すればいいのかな…。先生、マルファン症候群はどんな人がかかるの?
性別、人種、住んでいる地域に関係なく、約5000人に1人の確率で発症すると言われているんだ。また患者さんの75%は親からの遺伝であり、残りの25%は突然変異で発症するとされているよ。
じゃあ、パパやママが患者さんでなかったら、自分ではなかなか気づきにくいよね。…そうか‼みんながマルファン症候群を知ることで助かる命が増えるんだね。
そうだよ。だからこそ情報は
命を救い、生きる支えになるんだね‼先生